騙されたのに法による救済を受けられない場合がある?

例えば、です。

あなたのお子さんは、中学受験を控えています。どうしても入りたい私立校があるのですが、学力的にちょっと厳しい状況。でも、どうしても入りたい中学校なんですね。それは、お子さんよりも親御さんである、あなたの希望です。

そんなこんなで、ある日、学校に「顔が利く」という自称学校関係者を紹介してもらうことができました。
その人曰く、口を利いて入学に手心を加えることもできるといいます、もちろん、タダではなく、それなりの「アレ」は必要とのこと。

あなたは、よくないこととは理解しつつも、その自称関係者に口利きをお願いしたく、それ相応の「アレ」を包んで子供の裏口入学を依頼しました。

結果ですが、お子さんは、その私立中学校には入学できませんでした。あなたは、怒り狂います。「話が違うじゃないか!」と・・・

約束を果たしていないのだから、「アレ」は返してもらいたい。

自称関係者は、あれは約束ではない。依頼の対価ではない、と。話は平行線です。
あなたは、訴訟に打って出ることにしましたが・・・

この裁判、結論としてあなたは「アレ」を取り戻すことはできません。民法704条に「不法原因給付」という規定が置かれています。

不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りではない。

この話、ポイントは「裏口入学の依頼」で「お金(もういいです)」を渡しているということ。
裏口入学は、言うまでもなく、社会的に容認された行為ではありません。公序良俗に反する行為です。

あなたは、社会的に非難されるべき行為を依頼するために金銭を渡しています。この契約自体、絶対的無効な行為なのですが(民法90条)、だからといってその金銭は返還請求できないのです。

通常の契約無効の場合は、お互いに返還請求できるように法は規定されているのですが(民法703条)、社会的に非難されるべき行為の場合には、法の保護は及ばないということです。

このようなパターンは、なにも裏口入学の場合に限りません。よく例に挙げられるのは、妾契約の場合なんかもそうです。
上の事例に当てはめてどういう状況か確認してみてください。